オブシディアンの話 (その後)

オブシディアンの話 (その後)
オブシディアンとは、黒曜石。その名のとおり黒いものが多い
のですが、中には透明感のある茶色・赤・緑・青のものもある
ということを過去の日記でご紹介いたしました。
成分は天然ガラスですので、不純物がなければ無色透明なもの
も出現すると言われています。
私自身、かれこれ30年ほど前に母がイタリアのナポリへ観光
に行った友人からのお土産で、透明なエメラルドグリーンの
オブシディアンで出来たイヤリングを頂いていますので、
透明なグリーン系のオブシディアンの実物をこの目で確認して
います。(石の解説がイタリア語で書かれていたので、声楽を
勉強していた従姉妹に読んでもらったところ、火山によって
出来た透明なガラス質の石である…と書かれていました)

で。

中国から発掘されて最近大量に出回っているものが「偽物」で
あるという話もあります。
当方は、懇意にしている業者様から「天然石である」との
お墨付きを頂き、それを信じております。とはいえ、人工石
かも知れないという可能性も否定出来ません。そこで、その
業者様に悩みを打ち明け、相談いたしました。
すると、業者様も最近のお取引の中で、鑑定に出されたという
お客様がおられたという話を聞かせて下さいました。

ただ、このままではやはり不安だとお話したところ、わざわざ
同じような原石を入手され、ハンマーで割って中を確認
して下さいました。その画像が、左側になります。
小さいですが、気泡と天然ガラス特有の内部構造が見られます。
丸い気泡の(正円形ではなく少しななめから見ると楕円形)
中に、黄色いものと液体状インクルージョンもありました。
その他、別途成分分析をした石(破片含む)からは、全てに
人工ガラスにない成分があり人工ガラスではないという
結論を得られました。これで、今回入荷したオブシディアン
が人工物あるという可能性は限りなく低くなりました。

確かに、中国ですから人工物を天然石と偽って販売する業者も
わざわざ人工物を本物に真似て作ったりする業者もいますし、
100%信頼するのは危険です。でも、全てが偽物ではなく、
偽物と本物とが混在しているというのが実情のようです。
そして、ぱっと見ただけではどちらも殆ど区別がつきません。
先に書きましたように、石を割らないと分からないことも
あります。

天然ガラス石か人工ガラスかの鑑別をするポイントの一つ
として、気泡(泡のインクルージョン)の形状があります。
真円の気泡が多くあるのがガラスで(変形もありますが)
鑑別する際、真円の気泡が多くある場合は人工ガラス等
加工石と判断される事になります。
(もちろん他の情報も含めて判断されます)
また、液状インクルージョンがあれば、極めて人工物である
可能性が低くなります。といいますのも、液状インクルー
ジョンは人工的に作り出せないものだからです。
インターネットですぐに様々なことを調べられる便利な
世の中にはなりましたが、中には間違った情報も多くあり
ます。インターネットから得た情報を全てそのまま信じるのは
危険ではないか…と、業者様からアドバイスを受けました。

この業者様は、FGA(イギリスの宝石鑑定士)の資格を取得する
ために勉強をされていたとのことで、周囲にもFGA有資格者が
何人もおられるとのことです。目は確かな方ですので、いつも
良いルースをご紹介頂いています。

実物は本当に美しく、吸い込まれそうな青い色をしています。
この青を見ていると、これまでの喧騒がどうでもいいような
気持ちにすらさせられます。そういう意味では、この石に
癒されているような気がします。たとえ人工ガラスであった
としても、やはり天然石だったとしても、あるがままを受け
入れたいと考えていました。

が、このようにして手を尽くしてお調べ頂いた結果、当店
では大切なお取引先である業者様をご信頼するという結論
に達しました。

当店で扱うジェムストーン・宝石質ビーズにつきましては、
自信を持ってお勧め出来るものばかりです。それは、これ
までお付き合いしてきた多くの業者様との信頼関係の上に
成り立っています。これからも、その方針は変えません。
誠心誠意をもって、一つ一つの作品の製作にあたっていき
たいと思っています。